上州漁協の平成18年アユ解禁
−−−約63万3千尾のアユが3河川で育っています−−−

1 上州漁協のアユ解禁は6月3日(土)未明
上州漁協は春先から多くの組合員をボランティア的に動員してアユ稚魚の放流を続けてきました。
平成18年の上州漁協管内におけるアユ解禁は、1月の総会で承認された、過去2年と同様な6月上旬解禁の方針どおり、6月3日(土)未明に決定しました。
湖産アユが放流できた時には、上州漁協管内のアユ解禁は6月の下旬だったのですから、約3週間も解禁を早めたことになります。
当然ながら解禁当初のアユはやや小型ではあり、これに対する意見・批判も聞きます。
しかし、冷水病が十年位前から群馬県内で本格化して以降、春先に放流したアユが順調に成育していても、6月中旬になると、冷水病の感染・発症による「死亡」と「濁りが流入した時の流下」が連続しました。
このため、ワクチンなど本格的な冷水病対策が開発されるまでは、冷水病が発生する時期(河川の水温)を迎える前に、小型ながらも成長したアユを釣ってもらい、冷水病発症の影響を最小限にしたいという、消極的ではありますが、現実的な上州漁協の選択の結果が「6月上旬のアユ解禁」です。

2 今年のアユ稚魚放流状況
上州漁協ではアユ放流にあたり、ここ7年間くらいは冷水病に感染してない「無病アユ種苗」の放流を原則としてきました。
この結果として人工産アユ種苗100%の放流となり、素性が確認でき、出荷時における冷水病検査を受諾した群馬県内のアユ中間養成業者からの種苗購入が主体となりました。
しかし、群馬県内の漁協がアユ種苗購入先を県内の業者に変更した結果、5年ほど前、群馬県内産の人工産アユ種苗が不足する事態となりました。
その時、上州漁協では水産関係者から、「出荷時の冷水病検査」を受入れ、「無病が確認できたアユ種苗」を出荷できる群馬県外の業者として「福島県の熊田養魚場」の紹介を受け、少量のアユ種苗購入し、それ以降、毎年購入を継続・拡大してきました。
その理由は、釣り場管理の現場で、放流作業を担当して、アユの成長を見守っている多くの地区役員から「熊田養魚場が成育した海産系アユ種苗は、どうも冷水病に強いようだ」との感想と、「自分の担当する河川水域への放流は、海産系の熊田養魚場のアユを多くして欲しい」との要望が寄せられていることです。

3 各河川ごとのアユ種苗放流量と購入した養魚場

ここ数年における放流魚の成育状態を加味し、上州漁協の放流責任者が各支部の要望を考慮して決定した計画に従い、実施した平成18年のアユ放流状況は次のとおりです。
特色としては、過去3年、連続して放流した鏑川で冷水病に負けずに終盤まで生き残った「福島県熊田養魚場が成育した海産系のアユ種苗」を各河川に放流できたことです。
この結果、解禁当初は追いの良い群馬県産アユが活発にオトリを追い、梅雨明け以降は海産系アユの成長した魚を釣るという、釣り期間の長い設定ができたことになります。
 ・放流総重量 5,700kg
 ・放流尾数  63万3千尾 (1尾9.0gとして換算)
 ・放流予算  2,000万円(平成18年総会承認額)
 ・購入単価  約32円/1尾(運搬・放流経費を含めず、養魚場出荷時)

4 海産系由来のアユが冷水病に強くなってきた!?
冷水病は相変わらず全国のアユ釣り場で大きな影響を与えています。
ここ十数年間にわたる、群馬県だけでなく全国的なアユの不漁の原因は、広く知られているように「冷水病」と「カワウ食害」であることは、釣り人の誰もが認めているところです。
そして、カワウについては多くの釣り人と漁協関係者が、根本的なカワウ対策としては「カワウの狩猟鳥化」しかないと認識し、社会に訴え始めましたが、まだ環境省や自然保護関係者の強い反対にあっているのが現状です。
しかし、冷水病に関しては、天然遡上している「海産系アユの一部」と養殖されている「一部の海産系統のアユ」が「冷水病への耐性」を徐々に身につけてきたのではないかと推測される結果が各地で残されています。
冷水病が全国で発生するようになって10年以上が経過してますが、天然遡上する海産系アユは、冷水病に感染・発症する環境で毎年、産卵・ふ化・成長を繰り替えしているのですから、「冷水病に強い体質の強化」なり「冷水病に強いアユの選抜(生き残り)」が行われても不思議ではありません。
その結果として、まだまだ特定の水域のようですが、那珂川など天然遡上を主体とする河川の一部で、ここ2年ほど、アユの好調が伝えられているのがその現象が現れたものだと私は考えます。
また、上州漁協の鏑川で過去3年連続で確認できた、「海産系人工産アユ」の終期までの生存もこの実例だと考えられます。
釣り人としても、釣り場管理にボランティアとして協力している漁協組合員としても、冷水病が流行る前の「元気で、当たりが良く、引きの強いアユ」が早く復活して欲しいものです。


−−−−− 上州漁協 松井田支部 監視員 柳澤政之 −−−−−