| 効果的なアユ放流のために |
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| 1 基本的な放流方針 | |
| 一番の問題である「冷水病」については、河川内における感染後の対処方法が発見されていないことから、現状では、冷水病に感染する可能性を低下させる方法しかありません。そして、「河川に存在する細菌」により冷水病の感染が避けられないとしたら、冷水病の発症を前提としたアユ釣り場の管理をしなければいけないと考えます。 | |
| (1) 健全なアユ種苗の放流 | ||
| 冷水病に感染していないことを確認した養魚場から、冷水病に感染していないアユ稚魚を購入するのは、当然、今後も基本方針とします。そして、河川への放流した後の定着と成長に関しても養魚業者に責任を共有してもらうため、河川毎に放流用種苗を購入する養魚場を特定します。 | ||
| (2) 6月第1土曜日の解禁 | ||
| 河川で成長するアユに冷水病が発症する前に解禁するという対策ですが、今年はそれなりに成果を残すことができました。アユ放流を担当する役員は、今年と同様に、来年もアユ解禁は早い時期に設定する方針を確認して、平成16年6月の第1土曜日である6月5日(土)でどうだろうと既に話し合っています。 | ||
| 2 さらに良いアユ放流目指し | |
| 現在のアユ放流は「冷水病対策」が最優先の基本となっていますが、「さらに良いアユ稚魚放流」を実現するために、上州漁協のアユ放流を担当する役員は次のように考えています。 | |
| (1) 放流尾数の確保 | ||
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漁協はアユ稚魚の放流を重量単位で計画して実施しています。冷水病が流行する以前、琵琶湖産アユ種苗が中心であった時は、放流する時期で概ね稚アユのサイズが揃っていて、3g〜5gくらいの大きさだったそうです。しかし、現在の人工産アユの放流用種苗の平均的サイズは10gに近い状態で、体長7?〜10?もの大きさです。 この結果として、同じ放流重量でも琵琶湖産と比べれば放流尾数は半分以下となるし、群馬県水産試験場が推奨する「人工産アユ種苗の7g前後」と比べても放流尾数は3割程度減少しています。放流後、稚アユが河川で元気に育ってくれるなら、当然のことながら「釣りの対象となるアユの総数」は放流重量ではなく放流尾数に比例します。なぜこのような「大きなアユ稚魚」を放流することになったのでしょうか。 一つの要素は、上州漁協が試みとして、「大きめの稚アユを、早期に放流して、早い 解禁をする」と考え、実行したことにあります。しかし、最も大きな原因は採算性を重視し、養魚場が限りなく10gに近いアユ稚魚を出荷しようとしていることです。 アユ稚魚の価格は、今年の場合、各漁協で構成している群馬県漁業協同組合連合会(通称「県漁連」と言います)と養魚業者が協議して「養魚場を出荷する時点で、体重5g〜10gのアユ稚魚を1kgあたり3,600円を目安とする」としました。上州漁協では放流用アユのサイズとして「群馬県水産試験場が推奨する1尾7g」を要請したにも関わらず、養魚場は10g近い大きなアユ稚魚を出荷した結果が残りました。 5gの大きさまで育った稚魚をペレットの給餌により7gまで育てるのは、5gまでの大きさに育てる手間と経費よりはるかに効率が良いし、7gから10gの稚魚に育てるのは更に効率が良くなり、時間も1週間〜3週間程度で十分なようです。従って、養殖業者は採算を考慮すればどうしても大きめの稚魚、10gに近いサイズの稚魚を出荷することとなります。 そこで、(当然のことですが)望むサイズの稚魚を放流できるよう、今後、上州漁協ではアユ購入に当たり5g〜10gまで間を1g区切りで1尾の単価を設定するか、群馬県水産試験場が推奨する7gのサイズの稚魚価格を1尾の基準価格として「1尾いくら」の購入形態にすることをアユ放流担当役員が検討しています。 |
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| (2) 屋外の養魚池で飼育されたアユ稚魚の優先 | ||
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今後は放流するアユ稚魚について「健全性」というか「適応力」を求めていきたいと考えます。アユ養殖業者の一部では、養殖池水温の上昇によりアユ稚魚の摂食状況を活性化させ、早い成育を目的として、温室内で飼育しています。この状態でアユ稚魚が飼育され、順調に餌を食べていけば、3月下旬には10gを超えるような大きな魚体に育つ群もいるようです。 しかし、上州漁協のアユ稚魚放流を担当し、河川における放流後の成長、冷水病の発症、解禁後の釣れ具合を観察した役員の間では「温室育ちのアユ稚魚は虚弱なのではないか」との意見が強くなっています。 河川に放流された後、「河川に存在すると考えられる細菌」に対する感染しにくい体力、細菌に感染した後の「冷水病症状」の発症に対する抵抗力、といったものには、アユ産地(系統?)の別、養魚場の別、で差があるのではないかと考えています。温室内の温和な環境で育てられたアユ稚魚よりも、屋外の養魚池で飼育されたアユ稚魚の方が、四季と天候の変化を強く感じ、影響を受けているので、自然の河川に放流された時に馴染みやすく、色々な意味で「強い」はずです。 従って、同じ価格で購入できるなら「屋外の養魚池で飼育されたアユ稚魚を優先させたい」と考えるのは自然だと思いませんか。 |
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| (3) 強い水流のある養魚池で飼育されたアユ稚魚の優先 | ||
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ここ数年、群馬県産アユは放流直後の稚魚の段階だけでなく、ある程度の大きさに育っても「群をなしている」現象は相変わらず各河川で見られ、解禁日、入川する場所により釣果に大きな差が出ていました。 また、私と友人の釣り感覚では、群馬県産アユは針掛かりした時の「アタリ」の出方がここ数年弱くなり、「目印が飛ぶようなアタリ」をしばらく味わっていません。この「群れやすい形質」と「アタリが弱くなった」原因は今のところハッキリとしません。というより、養魚関係者の方々はこの現象を認知してはいないので、私達の意見になりますが、釣り人の皆さんはどのように感じていますか? 群馬県産アユが人間の手による採卵・受精と飼育を10年以上も継続してきた期間に、人間の影響をあまり気にしないで、養殖用のペレットを良く食べ・成長の早いアユが必然的に選抜されたことが影響しているのかもしれません。でも上州漁協のアユ放流担当役員は、養魚池に流れる「水流が少ない」「水勢が弱い」「濃い密度」の状態で飼育されていることが「アユが群れすい」現象と「針掛かりのアタリ」に大きな影響を与えていると考えています。 河川に放流する稚アユなのですから、養魚場で成長する期間もできるだけ「水流が強い養魚池」において「個体密度が高くない状態」で生活した稚魚の方が、「河川に適応しやすい」「群れにくい人工産アユ」になり「アタリが強い元気なアユ」になると考え、このような飼育条件を有している養魚場から優先して購入したいとアユ放流担当役員が検討しています。 |
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| (4) 最下流部における「琵琶湖産アユ」の試験放流 | ||
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冷水病の発症さえなければ「琵琶湖産アユ」は追い気が強く、魚体も美しく「文句のないアユ」で、今でも懐かしむ友釣りファンが多くいます。ただ残念なことに、ほとんどの琵琶湖産アユ種苗が冷水病に感染してると考えられるので、現在、上州漁協管内の河川に放流することはしていません。 しかし、上州漁協の管理する漁場の最下流部にある「高崎市内の烏川水域」に試験的に放流することをアユ放流担当役員が検討しています。なぜなら、「高崎地区の烏川水域」はここ数年、アユ稚魚の放流はするものの、冷水病の発症などで、いつも結果が出ませんでした。 「高崎地区の烏川水域」ではアユ稚魚の放流を休止することも消極的対策として検討していますが、最下流部であり水温の上昇も早いことから、「琵琶湖産アユ」を放流して、「冷水病が発症しない幸運な現象」を期待することも検討中です。 琵琶湖産アユ種苗を放流しているほとんどの河川では、非常に高い確率で「冷水病の発症」と「多くの死魚流下」を経験していますが、「ものすごい幸運」に恵まれれば、平成15年、「上田市内の千曲川」で現れたように「琵琶湖産アユが釣れる状況」の実現が期待できます。今後の検討と、総代会での議決次第ですが、「高崎市内の烏川における琵琶湖産アユの放流」を「ダメモト」でやることになっても、「試験放流」として御理解いただきたいと思います。 |
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| 3 県内でのアユ稚魚運搬 | |
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普通の商品の価格は納入地まで運搬しての設定が多いようですが、放流用の魚類については、運搬途中で死ぬ場合が(けっこう)あることから、出荷場所である養魚場での価格であり、運搬料金が別となっています。 そして、県内の養魚業者が所有する活魚運搬車はほとんどが中型トラック1台だけで、1回に多量に運搬できないことと、生き物を運ぶのでリスクが高いことから、運搬料金がかなり高額(県内で1往復2万円〜5万円程度)となっています。このため、養魚業者が所有する運搬車を依頼する他は、上州漁協で所有する中型トラックの活魚運搬車と、小型ですが500リットル水槽を積載した組合員の自家用車2台による運搬で対応しているのです。 しかし、この4車両を合わせても1回に運搬できる総量はアユ稚魚で350kg程度であることから、上州漁協が実施するアユ種苗の放流回数は延べ15回にもなってしまいます。アユ稚魚は他魚種と比較すると酸欠に弱く、運搬途中における酸欠等の悪条件で「弱り、アップアップ状態」になると、あまり回復しないので、運搬に特に注意を要します。 活魚の運搬に最も良いのは、県外の大規模養魚業者が所有するような大型トラックに積載した「大型水槽」で余裕を持って運ぶことですが、このような業者が県内にいないのですから、今後も、現状の体制で対応するしかありません。 |
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| 4 県内のアユ養殖 | |
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群馬県内の人工産アユ種苗は、採卵・受精など技術的に難しく・コストがかかるアユ養殖の初期段階を群馬県水産試験場が一元的に担っています。 培養が難しく、コストがかかる「ワムシ」を餌として多量に使用する養殖の初期である「シラスアユ」から0.5gサイズに育つ段階は、アユ稚魚もごく小さいので扱いが非常に難しく、細心の注意が必要だとのことです。 釣り雑誌「釣り人」などで「群馬県産は日本一の人工アユ」と賞賛されているのは、養殖アユの成育に大きな影響を与える、受精・孵化から0.5gまでの繊細な取扱いを要する期間において、群馬県水産試験場のアユ担当者が取扱いに労力を惜しみなく注ぎ、ペレットと比較して遥かに高コストの培養が必要な「ワムシ」をできる限り長い期間与えることにより「良い稚アユ」を育てる努力をした成果だと考えます。 「アユは一度体力が落ちると、その後も大きくはなるけれど、力があまり回復しない」とアユ養魚関係者が言っています。「群馬県産アユ」が良いとされるのは、表面には出ませんが、このように成育が大変な期間を群馬県水産試験場のアユ担当者が支えていることが大きな要素であることを知っていただきたいと思います。 釣り雑誌・釣り新聞では「群馬県○○養魚場」ブランドのアユが「追いの良い群馬県産人工アユ」として取りあげられていますが、正確な情報としては「群馬県水産試験場が生産した0.5gサイズのアユ稚魚」を「○○養魚場」が人工飼料のペレットで放流サイズまで育てた「群馬県産人工アユ」と表現すべきですね。 扱いやすい配合飼料のペレットで飼育できる「0.5gを超えるサイズの稚魚」に育った段階で、中間養成業者と位置づけている「アユ養殖業者」に対して群馬県水産試験場からアユ稚魚が出荷され、県内各地の養魚池で体重5g〜10gの放流サイズになるまで育てられているのが「現在の群馬県内におけるアユ養殖」です。 |
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−−−−− 上州漁協 松井田支部 総代 柳澤政之 −−−−− |