漁協監視員に対する苦情

1 監視員に対する苦情
 昨年から今年にかけ、「上州漁協の監視員は生意気だ!」と何件かの苦情が上州漁協松井田支部長へ寄せられています。
 この苦情というか、釣り人の意見の発端となっているのは、ヤマメ・イワナの「1日当たり採捕制限20尾」と「15cm未満の小型魚採捕禁止」が遵守されているかを、監視員が釣り人のビクを見せてもらい、確認していることです。
 いままでは釣り場で「ビクの中を確認させてください」と漁協の組合員から声を掛けられたことは無いでしょうが、これは「不自然なこと」なのでしょうか。
 群馬県内の渓流釣り場では、尾数制限20尾と15cmの体長制限があることは、渓流釣りの愛好者なら常識として知っているはずです。
 たぶん、「ビクを見せて下さい」と声を掛けられたことで、「上州漁協の監視員は生意気だ!」と地区支部長へ苦情を申し立てた人は、監視員に「ビクの中にヤマメ稚魚(15cm未満)がいたこと」を注意されたことで苛立ったのだと思います。
 ここ2年間、できるだけ上州漁協管内の渓流で釣りをしている人のビクの中を見せてもらったところ、過半数以上の人からは「当然、小さいのは放しているよ」とか「15cm未満の稚魚なんか持って帰っても食べるところなんか無いから放流している」との言葉と共に成魚だけを見せてもらっています。しかし、残念なことに2割くらいの釣り人のビクからは15cm未満のヤマメを見ることになり、「稚魚は釣れても、来年の為に放流して下さい」「針掛かりした稚魚も丁寧に針を外し、放流すれば大丈夫です」と言わなければいけない状況を迎えました。

違反者

体長制限違反

2 漁協の監視員
 釣りに行ってたまに出会うのが漁協の監視員ですが、一般の釣り人から余り良い印象を持たれているとは言い難い役職ですね。
 「監視員」は言葉のとおり、釣り場の維持管理を行う役割を漁業協同組合から任され、それぞれの担当地区を中心とした釣り場の管理・監視を行っています。
 釣り場の監視の形態は漁協によって異なりますが、上州漁協では総数で約100名の組合員がこの監視員として委嘱を受け、「監視員」の腕章を携帯し、地元地区を中心とした釣り場の監視を実施していることになっています。その他に地区役員である「総代」100名が同様に、釣り場の監視のために河川湖沼を廻っているはずです。

3 監視員の業務
 釣り場には不特定の釣り人が訪れていますが、多くの人は「釣り券」を所持し、「釣り」を楽しんでいます。
 しかし、「釣り券」を購入していない「密漁者」や、規則で釣ることが禁止されている「15cm未満の小型魚」を釣り上げ、持ち帰る釣り人も見受けられます。
 このル−ルを守らない釣り人を無くすために、監視員が釣り場を廻り、遊漁券を持たない釣り人には「日釣り券」を買ってもらい、小型魚の採捕禁止などをお願いしています。
 多くの善良な釣り人にとって「監視員」は煩わしい存在に感じられるはずですが、漁協が釣り場の管理・監視をしなければ、密漁者などル−ルを遵守しない人達が増えることは間違いありません。

4 上州漁協での釣り場監視
 上州漁協管内の釣り場では、釣り券を持たない「密漁」の防止を主たる目的として、渓流部での監視を4年ほど前から積極的に実施してきました。
 そして、日釣り券をコンビニに置いてもらい、釣り人が分かり易い場所で、いつでも釣り券を購入できる体制を整えてきました。
 また、漁協が実施している放流について、魚種、放流量、放流経費を掲載したチラシを作成し、釣り券購入時や河川監視で会った釣り人へ渡し、漁協の釣り場管理の努力と実績を知ってもらうようにしました。
 当初、河川を監視に廻ると、鑑札を待っていない釣り人、漁協から見れば「密漁者」に該当する人が3分の1くらい存在したのですが、監視に廻っている事実が徐々に認知されてきて、昨年あたりからは、釣り券を持たない人は、釣り人全体から見れば5%以下の「少数派の人達」の存在となってきました。

5 碓氷川水系での積極的な監視を実施した効果
 漁協の内部的には表現が問題かもしれませんが「今まであまり監視ができていなかった碓氷川水系で、積極的に監視を実施した効果」は次の点に集約出来ると思います。
(1) 「釣り人が少なくなった」

 渓流釣りに関しては、平成12年の解禁日以降、シ−ズン中はほとんど毎週、釣り場の監視を行い、釣り券のチェックをしたところ、釣り人が少なくなってきました。特に河川規模の小さい「増田川」は12年4月〜6月の期間、土日には15人程度が入川してましたが、平成13年以降の同時期には約半分以下の釣り人に減少しました。主たる原因は釣り券を購入しない「密漁者」の人達が来なくなった結果と考えられますが、次のことが推測できます。

  • 推測1
     増田川ではヤマメを釣っている人の半数が釣り券を持っていない「密漁者」であったこと。
    釣り人の皆さんは「釣り券」が高いと言います。漁協は放流に係る経費を「釣り券を購入する釣り人」に分担してもらうよう「釣り券価格」を設定していますが、現実には、釣り券を買っているいる人は、釣り券を持たず魚を持ち帰る「密漁者」が本来は負担しなければならない経費部分までを負担しているから釣り券価格が高くなってしまうのです。従って、釣りをする人が100%釣り券を購入するなら、それなりに釣り券価格を下げられるはずです。
  • 推測2
     増田川は残念ながら2千円の日釣り券に値する釣り場ではないと判断されたことです。
    河川規模が小さくヤマメが隠れる場所の少ない増田川では、放流や自然繁殖の成果として生息しているヤマメは解禁から短期間でかなり釣りあげられ、魚影が薄くなってしまうので、「日釣り料金2千円」を払うほどは魅力が無いと思われていることです。
(2) 年鑑札購入者が「釣り券の価値」を実感している
 監視員は釣り場で年鑑札を所有していると判断できる釣り人にも声を掛けるようにようにしています。
 これは釣り人全員が、同じように放流に係る経費を負担し、体長制限などのル−ルを遵守し、釣りを楽しむために「監視員が釣り場を廻っている」ことを知ってもらうことに目的があります。
 監視に会う頻度が低くて、年鑑札又は日釣り券を「購入しても、購入しなくても、同じ状況」では、「監視員が来たら日釣り券を買えば良い」と考え、事前に釣り券を購入する釣り人が少なくなることは当然の結果だと思います。
 そのためにも、できるだけ釣り人に「漁協の監視員ですが、今日は釣れましたか?」と声を掛けるようにしているのですが、最近は、遠くからでも視認できるように年鑑札を、ベストの背中とか、ウェイダ−のベルトに付けておく釣り人が多くなったのは、監視の存在を意識している結果でしょうから、喜ばしいことと考えています。

−−−−− 上州漁協 松井田支部 総代 柳澤政之 −−−−−