まだアユが釣れている上州漁協管内の河川

16.8.9 アユ

1、アユの放流尾数

釣れるアユがどのくらいいるか釣り人が予測する要素としては、「放流したアユ稚魚の重量」ではなく「放流したアユ稚魚の尾数」こそが、本来的には重要視されるはずです。

それにもかかわらず、アユ放流に関しては、従前からの「Kg当たりの単価でアユ稚魚を購入する慣例」に従い「放流重量」が釣り人に対する漁協からの説明に使われ続けています。

放流稚魚の状態やサイズも重要ですが、放流において最も大事なのは、「アユ釣りに行く水域にどのくらいアユ稚魚が放流されているか」なのですから、アユ稚魚のサイズで放流尾数が変動する「放流重量」ではなく、「放流尾数」を用いて、「釣り場へ放したアユ稚魚の量」を誰もが理解しやすくするべきだと思います。

2、上州漁協のアユ放流尾数

上州漁協では1,995万円の予算で、購入単価が1kg当たり3,500円の人工産アユ稚魚「5,669Kg」を間違いなく「鏑川・碓氷川・烏川」へ放流し、6月5日(土)に解禁しました。

「5,669Kgのアユ稚魚」といっても普通の人には実感の湧かない数量だと思うので、尾数に換算してみましょう。今年、上州漁協で購入することのできた「冷水病に感染していない人工産アユ種苗」の大きさは「7g〜10g」くらいのサイズですが、中心的サイズの「平均体重9.0g」として、放流重量5,669Kgから換算すると、「放流尾数は約62万尾」と推定することができます。

そして、上州漁協が購入した今年のアユ稚魚の単価は「1尾約32円」となります。昨今、群馬県内のアユ釣りでは「1日20尾」も釣れれば「良い状況」です。上州漁協が放流したアユ稚魚62万尾が釣れる状態にまで河川で大きくなると仮定し、「良い状況である1日1人20尾」を釣ると仮定すれば、「延べ3万1千人」の釣り人に「それなりに楽しいアユ釣りの1日」を提供できることになります。放流したアユ稚魚が順調に育つ状況にあるなら、上州漁協の放流尾数はそれなりに「釣れる釣り場」を提供できるものであると思います。

3、例年と異なり、冷水病の影響が小さい

上州漁協がここ2年連続して解禁日を早め、以前よりも約3週間ほど早い解禁としたのは、基本的な対策方法ができていない冷水病が、放流アユに発症する前に、少しでも釣って楽しんでもらおうとの考え方です。現在、アユの冷水病に関しては、今までの実施してきた放流形態から上州漁協の放流担当役員は次のように考えています。

(1)ワクチンなど有効で根本的な対策方法は今のところない。
(2)漁協が取れる対策としては「冷水病に感染していないアユ稚魚の放流」である。
(3)しかし、解禁すると、他の河川で釣ったアユをオトリとして持ち込まれたり、
   釣り人のタイツなどに付着した冷水病菌により「冷水病の感染」は避けられない。
(4)または、河川の何かに付着して年を越した「冷水病菌」が存在するようで、
   6月中旬に16℃〜20℃の水温になると「冷水病が発症する」。

上州漁協では過去3年間は間違いなく冷水病に感染していないことを確認したアユ稚魚のみを放流しましたが、残念なことに「冷水病は全河川で発症」して、解禁後、3週間くらいでアユがいなくなりました。今年も解禁した後、例年のように「2週間程度で冷水病が発症」して、せっかく大きく育ったアユも「死亡」するか「弱って流下」してしまうと予想していました。

しかし、6月5日の解禁から小型ながらも釣れ続け、7月に入ると20cm程に育ったアユまで釣れる状況となりました。釣果は、場所的にムラがあるものの、普通で15尾位、良い場所に入り、条件に恵まれると40尾近く釣れることがあったようです。

 利根川(前橋)

16.8.9 利根川アユ

4、例年と異なり、8月に入ってもアユが釣れている

今年は「冷水病の発生は割と軽微」で、8月上旬になってもそれなりに釣れています。過去3カ年と同じ放流形態を取ったので、今年だけ冷水病が大規模に発症しないのは「予期せぬ幸運」としか考えられませんが、この幸運の原因を探すとしたら、「空梅雨で、河川水温の上昇が早く、冷水病発症の適温域だった期間が短かった」ことかもしれません。ともかく、今でも「それなりにアユが釣れる状態」にあります。

アユ稚魚の運搬と放流の責任者であり、各河川での放流作業を実際に行い、その後も各支部からの正確な情報だけでなく苦情もストレ−トに伝わる淡島理事と星野理事によれば、次のような状況にあります。

(1)鏑川、碓氷川、烏川の3河川とも6月5日の解禁以降、良い人は20尾くらいは釣れる状況が続いている。
(2)若干の増水など好条件に恵まれると30尾超の状況もあった。
(3)千曲川の上小地区が好調なので出かける人が多くなり、上州漁協管内の釣り人が少なくなっているが、
   釣れない結果ではない。
(4)ここ数年の人工産アユ種苗の特徴である「いる場所といない場所の差が大きい」状況にあり、入川場所で大きな差が付く。(5)7月中旬以降は少雨の影響で「渇水状態」となっているので「上手な泳がせ釣り」ができないと多くは望めない。
(6)県内産種苗が不足したので購入した「福島の人工産種苗」が「なかなか良い稚アユ」であり、
   また追いの遅い「海産系」であった効果で、現在でもかなりの数のアユが残っている。
(7)サイズは河川の場所で異なるが、23cmクラスまで混じってきた。

5、いつまでアユが釣れるか

上州漁協では、アユを最も重要な釣りの対象魚種として、放流予算の半分以上を費やして稚魚を購入して、担当役員が大変な労力をかけて放流をしています。

そして、その成果であるアユ成魚に関しては、大多数の釣り人が好む「友釣り」を優先しています。そのため、各河川の中・上流では「友釣り」だけで楽しんでもらう体制としているし、その他の多くの釣り場でも9月上旬まで投網とコロガシでの採捕を遠慮してもらっています。従って、場所による魚影の差があるものの、アユの姿がかなり確認できる現状から考えると、大きな台風などの来襲がなければ、9月に入ってもアユ釣りがそれなりに楽しめそうです。

特に、海産系である「福島の人工産」は性成熟も遅いはずなので、9月に入っても「元気なアユ」が釣れると期待しています。

6、他の河川でも釣れている

上州漁協管内だけでなく、他の河川でも釣れているようです。

確認した確かな情報では、神流川の上野村漁協、南甘漁協では20cm前後のアユが透明な流れに数多く見え、上手な人がしっかりと「泳がせる」と綺麗なアユが掛かり、良い条件では30尾くらい釣れる日もあるそうです。

また、群馬漁協管内の利根川前橋地区では、利根大堰を乗り越えて遡上してきた海産アユが場所によってはオトリを追い、大きな魚は25cmくらいのものまで釣れています。そのため、敷島公園横や中央大橋下では、平日でもかなりの釣り人の姿をみることができます。大渡橋近くでオトリ店を営む並木さんによれば、釣れる場所の見極めが難しいが、良い人は20尾は超えて釣果が出ているそうです。


−−−−− 上州漁協 松井田支部 総代 柳澤政之 −−−−−