ボサノヴァを作った男

Vol.41

「ジョアン・ジルベルト」 ボサノヴァの神様と呼ばれています。
ボサノヴァという新しい音楽のスタイルを作りました。

大阪公演のチケットが何とか手に入りました。

大阪には調理師学校時代からの友人、会沢がいます。
「もしもし、市橋やけど・・・」
「おう、市か、どないしたん?」
「明日、コンサートを聴きに大阪に出るんやけど、一緒に昼飯でも食おうか?」
「コンサート?ホンマかいな! まあそれはええとして暇やからええよ」

難波で、フグとヒレ酒で一杯やって
コンサート会場には30分前ぐらいに入りました。

チケットにはこう書かれています。
★本人の都合により開演時間がかなり遅れることがあります。予めご了承下さい。
神様は気まぐれなのです!

開演時間を10分過ぎて場内アナウンスが流れます、
「ただいま本人は当会場へと向かっているとの連絡が入りました、もうしばらくお待ち下さい!」 「うーん」観客は納得の溜息です。
30分を過ぎて、また場内アナウンスが流れます。
「ただいま本人は当会場に到着しました。準備をしますのでもうしばらくお待ち下さい」
会場は割れんばかりの拍手に包まれます。

アコースティックなギターがヴォサノヴァのリズムとコードを刻んで、
指がスラットを移動する時の「クッ、クッ」という音の中、
語りかけるように、ジョアンのボーカルが乗ります。

スポットライトに照らし出されたジョアンが、余分な語りを入れることもなく、
ただただ淡々と曲を進めていきます。
暖かい気分に包まれます!

 

10数曲を演奏し終わり、観客の拍手の中、ジョアンは目を閉じて動かなくなります!
それでも観客の拍手は続きます・・・・。
その拍手の中、彼は眠ったかのように動きません! 
私も目を閉じてみました、暖かい拍手が心に響くんです、届くんです!
彼は至福のときを過ごしているのでしょ!

5分を過ぎ、ばらばらだった拍手が「ぱん、ぱん、ぱん」という規則正しいものに
変わっていきます。
でも眠ったかのように、身動きひとつしません。
10分・・・・15分・・・・20分・・・・・拍手は続きます。
そして拍手がパラパラに変わり、最後の拍手が鳴り止んで一瞬の静寂が生まれた瞬間、目を開けて、本当にうれしそうな顔をして、次の曲を始めたのでした!

梅田の近く北新地で、神戸震災以来の友達の「くろちゃん」がバーをやっています。
「もしもし、市橋です、これから一杯飲ましてくれる ?」
「いいですよ、今、ジョアン・ジルベルトのコンサートから帰ったばっかりですが・・」  

「よかったねー」
「うん、本当によかったねー」

いつもより数倍おいしかった、ジンリッキーでした。

「ジョアン・ジルベルト」一度聴いてみてください! 



 

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