年を取るって

Vol.47

「年を取るって悪くないな」
そう言った永いつき合いの友達の目は、少し潤んでいた気がしました。
先日、一緒に酒を飲んでいたときの話です。

「昔、稲垣さんから言われたことが、やっと分かった気がして」
「うん?なにが?」

私が中心になって作ってきた集まりを、嫌気が差して、腹が立って、もうどうにでもなれと
投げ出した時がありました。
『そういう市ちゃん嫌いやナ、せっかくここまでなったのに壊すのはおかしいて、
市ちゃんは間違っとる!』

稲垣さんはその友達とも友人でした。
稲垣さんが死んで七年・・・
稲垣さんの言った事が、この年になってやっと理解できて・・・

 

若い時は恐いものがありません。
そして悪いことに、廻りは全て自分を中心に回っていると錯覚しています。
それまで一生懸命作り上げてきた物を壊す際も、自分のことしか考えません。
「いいって!誰にも俺の気持ちは分かってもらわんでも!」ってな具合に・・・

せっかく作り上げた良い関係を壊して、人に嫌われる結果になったとしても、
若い時はやっていけるんです。
人生の荒波を乗り切れる馬力を持っているんです。

状況を壊して、その後自分をプロテクトするためにエネルギーを使うなら
状況が壊れそうになった時、その修復のために精一杯エネルギーを使うほうが
良いのではないかと・・・
年を取って
やっと物事の本質が見えたというか、
稲垣さんの優しい気持ちに触れれたというか。

友達が言うように「年を取るって悪くないな」
私もそう思えるようになっています。



 

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