思いっきり殴られて

Vol.60

中学1年のときの話です。

担任の教師は、美術大学を出たばっかりの若い先生でした。
かっこよくて、熱血漢で、スポーツマンでした。

ませていた私は、その熱血漢振りを少しバカにしていたようです。
そして少し成績がいいことも、鼻にかけていました。

ある時、先生が一生懸命話をしているときに、バカにした「フン」という態度が出ました。
すると、一番後ろの私のところに歩み寄り、ただ黙って、思いっきり
びんたを食らわせました。
アッという間の出来事でした。


          


後輩で瓦屋さんを営む宮田君も、馬渕先生の教え子です。
毎年、先生出席の同窓会をしています。

「市橋さん、なんか最近、馬渕先生に似てきたね」
「うれしいなー、馬渕先生に似てきたなんて言われると」
「本当にいい先生やったし、かっこよかったもんね」
「会いたいなー、今一番会いたい先生やな」
「市橋さんの話し、よく出るよ」
「あそー、会える機会を、どっかで作ってよ」
「わかった、馬渕先生も喜ぶわ」

私の人生で、教師、上司に殴られたのはその一回だけです。

大好きな先生でした。
おもいっきり殴られたのに・・・

社会人になって、何回か一緒に酒を飲みました。
「市橋、わかるか! 絵を描かなければと思ってキャンバスに向かって、
一筆も動かすことができないで、朝を迎える気持ちが・・・
先生になっちまったなーって、涙が止まらない」

馬渕先生に会える!
あの、少し充血してしっかり人を見すえるあの目に会える!
でも、年とっただろうなー。



 

こらむトップへ